キャリアアップをしていく過程では、資格取得だけでなく、施設の管理職になるという方法もある。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などには、責任者である施設長というポジションがあるので、キャリアアップのする際の選択肢に加えておくと良いかもしれない。ただし、施設長になる方法は、施設の種類によって異なる。特別養護老人ホームの施設長になるためには、「社会福祉主事の要件のいずれかを満たしている」「2年以上社会福祉事業に従事している」「社会福祉施設長資格認定講習会を受講している」などのうち、いずれかに該当していなければならない。
また、介護老人保健施設の施設長は、原則として都道府県知事に認められた医師がなることが定められているものの、都道府県知事の承認があれば、医師以外の者が管理することも可能だ。しかし、医療と介護に精通している必要があるかもしれない。
さらに、グループホームの施設長を目指すなら、特別養護老人ホームやデイサービスなどのスタッフとして、認知症ケアに3年以上従事した経験と、認知症対応型サービス事業者管理者研修を修了している必要がある。
いずれの介護施設の場合も、施設長は業務に適切な人材を採用し、よりよいサービスを提供できるように人材教育をする必要があり、リスクマネジメントや感染症対策などの責任も負わなければならないため、専門スキルとともに、高いマネジメント能力が求められるだろう。それに、入居者やその家族、取引先と話し合う場面も多いため、円滑に物事を進めるためのコミュニケーション能力も欠かせない。
このように、施設長はスタッフのマネジメントや経営管理、入居者や家族の対応、関係各所との調整といったさまざまな業務を担うため、やりがいはあるが苦労は多いだろう。しかし、手腕を発揮して職場環境を改善したり、利益を生み出したりすることは、高みを目指したい人には魅力的かもしれない。